BTs『伯爵と三つの棺』を読み終わった人が増えてきたのでもう少し感想を書いちゃう。
舞台は架空の中欧。異世界ファンタジーは読者を理解させるハードルが高いし、読者が時代の激変をうっすら予測できるエモーショナルな効果が得られる。ただ詳しい方はリアリティが少々気になるかもしれない(まったくの直感とバイアスだが、中欧よりもっと南西が舞台なような印象を受けた)
登場人物の何人かの個性や、冒頭の写真資料はオーバーな語りや法螺の面白さである。つまり大衆娯楽の正統派な面白さ。
多重解決ミステリは近年とくに人気だが、わざとらしくなったり強引になったりしがちなので、さりげなくお上手な作品はほっとします。
たぶん、今年の年間ベスト類で上位のひとつになるのではないでしょうか。