カレン・ラッセルの短編集『オレンジ色の世界』(松田青子 訳, 河出書房新社, 2023)を読みました。過去の本よりいっそう切実な印象です。あとは自然や野生の描写も特徴的です。樹や犬の書きかた!
人間の心理にフォーカスしていますが、奇想アイディアが独創的で面白い話も多いので、SFやファンタジー読者もお見のがしなく。
2人の女性が死者のパーティに迷いこむ「探鉱者」、動力源として竜巻や風を育てる世界観の「竜巻オークション」、破滅し水没したフロリダで渡し舟をする、コウモリのように反響定位できる姉妹の話「ゴンドラ乗り」が特に着想や書きぶりが面白く、おすすめです。
「ゴンドラ乗り」はおもいっきり破滅後の世界もの、ミュータントあるいはポストヒューマンものですね。