「今何考えてたか分からなくなっちゃったじゃないですか！」
「どうせ碌な事じゃなかったよ」
「あら、失礼ね」
「代弁ありがとうございます岩下さん」
「そうだよ風間さん、坂上君だってたまには考えてるよ」
「そうか？」
「そうですかね」
「多数決でも取るかい？　今のところ2対3で僕の勝ちだね」
「坂上君はよく考えていると思うよ」
「細田さん……！」
「何だ、引き分けか。……いや、待てよ。玲子ちゃんは”たまには”と言っていた。つまり3.5対2.5って事だ」
「そこまでして勝ちたいんですか？」
「難しいところですね。風間さんを勝たせたくない、さりとて嘘を言うのはポリシーに反する」
「あの、僕ってそこまで何も考えてないんですか？」
「ご自身ではどう思われますか？」
「え？　えーっと……別にその、何も考えずに生きているという程では……無いかと……」
「自己評価が高過ぎますね」
「そ、そんな」
「自己評価と山は高ければ高いほど良いんだよ」
「風間さんは黙っていて下さい」
「坂上君、根暗の言う事なんか聞いちゃ駄目だよ。根暗になりたいんじゃなければね」
「坂上君、馬鹿の言う事なんか聞いては駄目ですよ。馬鹿になりたくはないでしょう」
「今馬鹿って言ったかい？」
「あの、喧嘩しないでもらえます？　うるさいので」