「どれが本当の風間さんなんですか?」
「本当って何だい? 全部僕だよ、掛け値なしにね」
「じゃあ、今ここで死んでいる風間さんも、今僕と喋っている風間さんも本当の風間さんなんですね?」
「そうだよ。君が殺したそれだって本当の僕さ」
「自分のことをあまり”それ”って言わない方がいいですよ」
「別にいいだろ。自分の事なんだから」
「まあ……確かに」
「大体、自分に向かって"その人"なんて言うのは他人行儀が過ぎるじゃないか」
「”それ”なんかもう人間扱いしてない気がしますけれど」
「死んでるからね。死体はモノだろ?」
「妙なところでドライですね……」