「僕は今、どうしてトランクと座席がつながっているタイプの車を借りてしまったんだろうと後悔しています」
「そりゃあトランクを広く使えると思ったからだろう?」
「それはそうですけれど、それを荷物に言われると余計に腹が立つんですよね」
「甘んじて受け入れたまえ。痛っ、坂上君、またぶつけたぞ」
「我慢してください」
「せめて荷物固定用のベルトか何か無いのかい」
「そこまで手をかけるつもりは無かったので」
「これじゃあ引っ越しの荷物の方がまだ扱いがいいじゃないか。僕の身体に傷が付いたらどうするんだい」
「もう付けましたよ」
「そうだね。だから君は重罪人だ」
「そうですけれど」
「開き直るなよ」
「あれだけ傷をつけてまだ生きてる風間さんが悪いんです」
「そこはまだ僕が生きている事に喜び打ち震え感激するのが筋ってもんだよ」
「何で生きてるんですか」
「僕だからね」