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「君は真正の馬鹿なのかい? そんな訳がないじゃないか。誰がこんな東北の山中で車の窓なんか割るっていうんだ。割れたんだよ、突然ね。誰かが外からバンバン叩いていたから、多分そのせいだろう」
「強盗ですか?」
「こんな東北の山中にかい?」
「今無事なんですか?」
「殺す」
「はい?」
「殺してやる」
「風間さん?」
「何だい?」
「今僕に向かって殺害予告しました?」
「しないよ。されたいのかい?」
「されたくはないですね」
「殺す」
「そこに誰かいるんですか?」
「いないよ。いや……ああ、うーん? いるのかな?」
「どういう事です?」
「さっきから女性の幻影がちらちら見えている気がするんだよ。多分気のせいだろうね」
「多分気のせいじゃないので逃げた方がいいですよ」