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則宗は清光にオークションで競り落とされた。
なんかみんなお面みたいなやつをつけた、天井から落ちたら一巻の終わりみたいなシャンデリアがぶら下がってる会場で、清光くんは颯爽と則宗に一番高い値段をつけた。
「ペイ◯イで」
そう言って朗らかな電子音を響かせた清光の姿は今も則宗の心に刻み込まれている。

以来ずっと、則宗は清光と一緒に過ごしている。オークションで競り落としたからと言って清光は則宗を特別扱いはしなかった。ごく普通の恋人として家族として、かれは則宗を大切にしてくれたし、則宗もまた清光を深く愛した。

オークションから十年経った今も、ふたりは手を繋いで出かける。
買い物で使うのはもちろん、あの日清光が支払いをした電子決済だ。
携帯端末をレジにかざしながら、清光は則宗に微笑みかける。

「ぺ◯ペイで」

こうですか?

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