『フランス精神分析における境界性の問題
─フロイトのメタサイコロジーの再考を通して─』
・1996年11月〜1997年5月
・ジャック・アンドレ主催、サンタンヌ病院でのセミネール
・目次は講演順、演者による加筆修正あり
第一章 唯一の対象
──ジャック・アンドレ
第二章 境界例の生成と状況
──アンドレ・グリーン
第三章 境界例は精神分析家にとって夢の患者なのか
──ピエール・フェディダ
第四章 境界例における分裂(clivage)と幼児性欲
──ダニエル・ヴィドロシェ
第五章 境界性機能様式:いかなる境界か
──カトリーヌ・シャベール
第六章 境界性患者、境界性状況──ジャン=リュック・ドネ
グリーンはそのオリジナリティにおいてもウィニコットを継承する。そしてグリーンがウィニコットの真の祖先とみなすのはフェレンツィである。私が主催するReading Freudでもフェレンツィの重要性をよく話すが、彼がいなかったらフロイトの理論は守られなかったのではないか。ラカンが声高にフロイトに回帰せよというまでもなくフェレンツィが精神病患者との関わりにおける苦闘において学び、自身の分析家であるフロイトに向けた抗議こそが今この時代に精神分析治療の意義を実感している分析家あるいは候補生と患者のペアにおける倫理となっているように私は思う。