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安東量子『スティーブ&ボニー 砂漠のゲンシリョクムラ・イン・アメリカ』(晶文社)に泣き笑い。
コミュニケーションってほんとどうなるかわからない。原子力のこととなると特に。私たちの小さな運動は失望ばかりだけどこんなこともあるんだ!という希望もくれる一冊。
奪われた日常、再開された日常、ずっと泣いている私たち。広島も福島も。フクシマも福島も。これを読んでいるとなぜだが急に涙が出てしまう。

16章「風邪のスープ」から引用する。
”私をもっとも悩ませていたのは、なぜ自分が泣くのか、その原因が漠として摑めないことだった。嗚咽せずにはおれない衝迫が、堰き止められない強さで内から湧き上がってくるのに、なにがその衝迫をよびおこしているのか、自分では皆目わからない。(中略)私が嗚咽するのは、人間として自然なことなのだ、そう肯定してもらえたようで、そのときも深く安堵したのだった。”

山本貴光さんの推薦の言葉も読み進めるうちに実感された。
著者の冒険ともいえる旅路を多くの人と共にしてあの震災をあの事故をその後の福島を再び語れたらという実現可能なプランをくれる一冊だと思う。
shobunsha.co.jp/?p=7365

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