ミゲピタ、眼鏡②
さてどうやって機会を作ろうか、となりなら自分も掛けて見せれば口実になるのでは?と思いつく。
「ピーター、ちょっと」
「ん?」
スーツの上に緩めの部屋着、そこまでは偶に見かける服装だが珍しい、いや始めて見る物がある。
「どうだ?」
「サングラス!…結構暗いな?」
「これくらいで丁度いい」
レンズの縁を撫でほう、と見惚れたようにため息をつくおじさん。悪い気はしないミゲル。
「なぁピーター、ちょっと頼みがあるんだが」
さて、ミゲルの頼みは厄介な、いや面倒な、うーん……兎に角やり難い事が多いが果たして。
「……何だ?言ってみろ」
「俺は眼鏡の扱いには慣れていない。出来れば色々、教えてくれたら助かるんだが」
意外と普通な内容だが、油断はしない。
「…例えば?」
「普段の扱い方、手入れの仕方、片付け方……あと、」
「あと?」
言葉を区切り、ミゲルの顔が近づいてきて、カツンとフレームが鼻に当たった。
「キスの仕方とか」
「……へぇ、じゃあ、まぁ……」
手入れ方法から、と続くつもりがもう一度フレームが当たった。
「早急に、キスの仕方から頼む」
結局そのまま沢山キスをして、続きもして。下手くそ!と言われるまで計算づくだったのでおじさんに実践で教えてもらうという口実を作った。