山師•野口健の猫殺しと友人撃ち
山師•野口健の猫殺しと友人撃ち
〈そのうちに空気銃で猫を脅し始めた。そして、僕は誤って猫の頭を吹き飛ばしてしまったのだ。〉(『100万回のコンチクショー』集英社、2002年出版)
〈何ということをしてしまったのか……。呆然としていると、一緒にいたAという友達が「何で撃ったんだよー、何で殺したんだよ!」と、僕を責め始めた。
僕は動揺し、混乱していた。僕だって撃つつもりはなかったのに、指が勝手に動いたんだ。そこにAがギャーギャー言いつのる。
「うるせー、黙らないと撃つからな」
僕は思わずそう言った。Aは「撃ってみろよ」とわめく。
僕は覚えていないが、そばにいたBによると、僕らは「撃つぞ」「撃ってみろ」と何度もわめきあっていたそうだ。僕は空気銃を下に向けていたが、だらりと下ろした銃口がAの足に触れていた。わめきあっているうちに、指に力が入った。
銃声がして、一瞬してからAが泣き叫んだ。「熱い!」「熱い!」
僕は友人の足を撃ってしまった。あわててタクシーをつかまえ病院に向かったが、この事件は学校だけではなく、カイロの日本人社会で大問題になってしまった。しょげかえっていたので、オヤジにはそれほど叱られなかったものの、僕は日本人社会で孤立した。〉(同)