ポッと赤くなった理由
「梅干?」
ナナリーの指先にある赤い実をアルウェスが興味深めに眺める。
「そうよ、これはすっぱいから食べたらこうなるの」
自分の口に梅干を放りこみ、ナナリーはきゅっと唇を窄めた。
「……へぇ」
それを見て、アルウェスも梅干を一つ摘んだ。ナナリーはアルウェスが知らないことを教えることができてご満悦だ。
「ナナリー、あーん」
だから素直に口を開けた。そこにアルウェスが摘んだいた梅干が放りこまれる。何故私にと思いながらもナナリーは唇を窄めた。
チュッ
「……………は?」
「キスして欲しそうな唇になったから」
ナナリーの唇の先に触れたのはアルウェスの唇だった。そう気付くと、ナナリーの顔は真っ赤になる。
「この、破廉恥馬鹿炎っ!」
そう怒鳴っても、アルウェスは可愛いなぁと破顔するだけだった。