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南條竹則「英語とは何か」メモ

1章 「英語という世界」

・異なる民族間での交易の際に使う商業用語を「Linga Franca(リンガ・フランカ)」と言う。転じて「共通語」という意味。元はレヴァント地方(中東〜北アフリカ)で使われていた言葉を指す、リヴィエラ地方(南フランス〜北イタリア)の言語の単語。「フランク人の言葉」という意味。

・現在の「リンガ・フランカ」は英語。ローマ帝国時代の「リンガ・フランカ」はラテン語。

・その時代に置いて強い国家の言語が共通語になるので、ネイティヴか否かで差が生まれる。その差を是正するために人工言語を作る試みが幾度となく行われてきた。

・シュライヤーというドイツ人が作った人工言語「ヴォラピュック語」は一時期ヨーロッパで盛り上がるも、シュライヤーと会員(ヴォラピュック語話者)の間で軋轢が生じたり、エスペラント語の勃興があったりして廃れていった。

・生まれ育った街が多民族地域で、互いに常にいがみ合っていたため、仲を取りもつ為に共通言語が必要だと考えエスペラント語を作った。エスペラント語の立ち位置は「国際補助語」で、ネイティブの言語に取って変わるのではなく、他民族間でのコミュニケーションの補助に使えという意図があった。そういう理念のせいか結構広まった。

・でも広まったといってもせいぜい100万人くらい。そしてエスペラント語にしろヴォラピュック語にしろ、ヨーロッパの言語を参考にしているので、ヨーロッパ以外の地域の人々は習得が難しくなる。またどの人工言語にも言えることだが、言語のアクセントは話者の第一言語に強く影響されるので、時が経つにつれて国によって同じ言語とは思えないくらい変わってきて、会話が成立しなくなる。

・そうならないためにはどこかに強い権力を置いて、言葉を取り締まらなければいけないけど、それは強い国家の言語を押し付けるのと何ら変わらなくなり、人工言語を作った時の理念に沿わなくなる。

2章 「英語といかにつきあうべきか」

・Q「今までの日本の英語教育は文法ばっかりやっていたが、中高大で勉強しても全然使えるようにならない。これからは英会話に力を入れる」という人がいるけどそれは本当?

A 正しい面もあるけど違う面もある。確かに今までの英語教育はスピーキングを全然やってこなかった。なぜならネイティブの人材が全然いないので、教えたくても出来なかった。日本人が教えることが全く無理なわけではないけど、実際の発音がわからんので、間違えた発音で教えたり、間違えていても訂正できない可能性が高い。でも読み書きは発音関係なくできるので、昔の日本人には、英語で会話は出来ないけど、洋書はバリバリ読めるし書けるという人が沢山いた。

・この4技能における「読み書き」への偏重は日本だけではなくて、昔のフランス人の英語学習においてもそうだった。パリの人間ならともかく、普通のフランス人が英語を話す機会は無かった。

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