オーバーツーリズムの問題は解決されるべきですが、その批判は「円安を維持してインバウンドを狙う日本政府」に向けられるべきであって、「外国人観光客(と外見や言語から判断した相手)への加害」という形で表出されるべきではないです。今後さらにゼノフォビアが加速することを懸念しています。

オーバーツーリズムへの批判がそのままゼノフォビアを加速させるのではないか、という懸念は私個人のこの10年間の体感によるものですが。
10年前(2014年頃)に中国景気を狙った日本側がインバウンド目的に中国人観光客を呼び込み、企業も春节フェア等で国ぐるみの「爆買い」ブームを起こした結果、反中ブームに火が付いたことを思い出しています。
店に「中国人お断り」の紙が貼られているとか、中国人だとみなした相手に店員が冷たい態度を取るとか、市民も街中で中国人観光客(と思われる人)を勝手に動画に撮って「迷惑だ」とネットにあげるとか、なんなら飲食店も中国人観光客の食べ物に何か入れて嫌がらせするとか、すでに中国人(や韓国人)に対しては起きまくっている加害です。
この十数年間で中国人観光客や韓国人観光客に対して行われてきた(そして手法が確立されてしまった)嫌がらせが、今後全ての外国人観光客にも適応されるだろうという懸念を私は持っています。ヘイトは対象が拡大されていくものなので、やはり「反中&嫌韓ブーム」を止められなかったことが大きいんだろうな、とも。
円安により「"外国人"から搾取される」という被害者意識が生まれており、それが日本全体ゼノフォビアをさらに加速させることを恐れています。

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オーバーツーリズムや円安を批判するとき、その言説がゼノフォビアやレイシズムに結び付かないよう意識する必要があります。
これは右派だけの問題ではないです。左派やリベラル層あるいは反差別を標榜している人さえ、この問題を批判する際に、外国人観光客を"公害"とみなして非人間化して責任を押し付ける「観光公害」などの言葉を使用し、かなりゼノフォビックな言説に乗っかっていることが確認されています。
日本にはすでに、外見や言語から"外国人"と判断されてしまう人種・民族的マイノリティの人々が多数在住しています。外国人観光客だけでなく、日本で暮らす人種・民族的マイノリティの人々もまた、オーバーツーリズムが起こした加害の被害者でもあります。
オーバーツーリズムは、観光客を呼んでおいて観光インフラの整備や街の福祉対策を怠った政府および為政者の問題です。批判する際には適切な言葉を選び、ゼノフォビア/レイシズムを加速させない、ヘイトクライムを起こさない、そうした意識がより一層必要になると考えています。

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