京極夏彦先生は、作中の時代背景からすれば日本が中国を「支那」と読んでいたのが事実でも、それは差別的な用法なのだから自作品では(悪意のセリフでない限り)他の言葉に置き換えると宣言していて、「支那そば」でさえも絶対に「中華そば」と書いているので、めちゃくちゃ好き。
京極作品はどれも物語が超面白くてキャラが超魅力的、というのは大前提でね、作家としての姿勢が本当に好きで。京極先生は現代人ながら「(最後の)文豪」と呼ばれることもある作家で、だからこそ、この姿勢が本当に嬉しかった。
文豪と呼ばれている作家はだいたい100年程前の人物だから、どんなに先進的な人でも植民地だった中国への視点は今見るとかなり酷いものなんだけど、「中国人に敬意を示してくれる文豪がいるんだ」と思わせてくれた作家が京極夏彦だった。だから私は京極先生を「文豪」と呼ぶファンでいる。
まぁ、『鳴釜』の同性愛表象が酷いこととか、一番好きな作品だけど『姑獲鳥の夏』は未成年と姦通した成人男性にえらく同情的な筋立てになってるのとか、約30年前の作品とはいえ気持ち悪いし批判点もあるとは思います。それでも、その時点での作家としての反差別の矜持がちゃんと反映されているのが読んでいて分かるし、常に倫理観が進歩してるのも分かるので、好きです京極作品。

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発売日の今日ゲットした『鵼の碑』(もう冒頭から半ばあたりは読んだ)は特に好きな百鬼夜行シリーズの最新作なので、物語やキャラだけでなく、そういう京極先生の作家としての姿勢がどう現れているのかも含めて読み進めるのを楽しみにしている。

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