フィクションにおいては胸の引き裂かれそうな悲劇めっちゃ好きなんだけど、でも社会からモンスターと呼ばれた側が易々と退治なんてされてやらずに大暴れする物語もめっちゃ好きなので、『オペラ座の怪人』と『ファントム』はそれぞれ半分ずつ好きだな。
今作『ファントム』(2023)のファントムはクリスティーヌと「友達になりたかった」のが良かった。関係性の築き方も段階を踏んでいたし、本当は同年代の音楽を愛する若者同士なんだよね。あの"父親"の所業が何から何まで最悪だったので、私の中の今年度「最悪の親で賞」にノミネートです。それにしても、ファントムが客席降りてきて歩き回って「ここが僕の大好きな森なんだ! ほら、あれがナラの木!」とか言って客のこと指差して木扱いしてしてたくだりは、かなり良かったな。