日本だと「姑娘(クーニャン)」を肯定的に他人に使う人が多くてビックリするけど、中国人の若い女性のことを「姑娘」って呼ぶのは、あんまり良い意味じゃないです。
ましてや日本人が中国人に対してこう呼びかけるなら、そういう歴史的文脈があるので、激怒する人もいるほどの言葉だと思っておいたほうがいい。
「姑娘」という言葉が出てくる有名な作品に、水木しげるの『姑娘』があるのだけど、この作品は日本軍が侵略先の中国で現地の若い美女を「姑娘」と呼んで捕虜にして……という壮絶な話で、「姑娘」がどういう意味で使用されていた言葉なのか想像できると思う。しかし、なぜか日本では「姑娘」が「美少女」程度の言葉としていまだに使われている。
元は「未婚の娘」という意味なんだけど、今はいい意味で使われていない場合の方が多い言葉です。少なくとも敬称ではなく、「嫁入り前の嬢ちゃん/世間知らずの女」的な、相手を侮った言葉に聞こえがちなものだと思っておいた方が良い。(中国でも地域や世代によっては日常的に使われているらしいけど、ネットで中国語で「姑娘」と調べたら出てくるのはエロ関連の投稿が大多数なのが現状……)
中国人/中国系/華語圏の女性を「姑娘」と呼ぶ人はやく減って欲しい。褒めてるつもりだとか、良かれと思って呼んでいるなら尚更。

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香港の人気女性歌手G.E.M.(鄧紫棋)のヒット曲「差不多姑娘」は、タイトルを直訳すると「大差のない似たような女の子」みたいな意味なんだけど、公式の英訳だと「Similar Girl/ Miss Similar」なので、意訳するなら「量産型女子」みたいな感じ。
この曲ではG.E.M.は、一つの価値観やビューティースタンダードだけを良しとして流行りの同じものを食べて同じものを見て同じものを叩いて同じ服を着て同じように話して同じように痩せて……という、集団主義の批判と、拒食症や醜形恐怖症を故発するトレンドへの批判を行っている。
この背景には時期的に香港デモの盛り上がりがあり、この曲は香港の女性歌手による「量産型女子トレンド」への批判でもあり、「一つの中国」を掲げて香港を弾圧する中国政府への批判も含んでいる、メディアや政府を批判する勇敢な曲なわけです。
こういう曲で、仮想敵として批判的に使われる「かわい子ちゃん/いい子ちゃん」的な言葉が「姑娘」です。あまりいい意味の言葉じゃないんですよね。

G.E.M.鄧紫棋【差不多姑娘 MISS SIMILAR 】youtu.be/s4pxJ-1QLQg

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