ブルース・スターリングの短編「蝉の女王」を30年ぶりくらいに読んだのであった。
お金のかかった昔の映画のような貴族的なデカダンスとシュルレアリスム芸術のような情景がすばらしく、しかし、すべては異星人とポストヒューマンたちの、理解や共感を拒絶する行動原理の産物なのだ。
「うわ、こいつら人間じゃない!」という、SFMで読んだ20歳の頃の初読の興奮はないけれど、高密度のSFであることは揺るがなかった。個人的には、最初に読んだ「サイバーパンクSF」だったし、佐藤道明の挿絵がすばらしかったことを覚えている。