原発事故 アートで伝える 南相馬・小高 「おれたちの伝承館」開館
tokyo-np.co.jp/article/265201

 福島県南相馬市の住宅街に今月、手作りの美術館がオープンした。その名も「おれたちの伝承館」。空き倉庫を作家や各地の助っ人、地元住民らで改装、中には福島や原発事故を伝えるアート作品が並ぶ。伝承館ができるまでの道のりを見つめた。

 JR小高駅から徒歩五分。一面の田んぼの中を時折常磐線の電車が走り過ぎ、朝は学校に通う子どもたちの姿が見える。小高の日常があふれる場所に「おれたちの伝承館」はある。この場所も七年前まで避難指示区域だった。オープンは、解除された七月十二日に合わせた。

<中略>

 アートで福島第一原発事故を伝承しよう、という試みは二〇一七年に始まった。伝承館館長で写真家、中筋純さん(56)=東京都日野市=は当時、写真展を開きながら「まだ直視できない」という被災者の声に悩んでいた。

 「直接的な表現ではなく、見た人が考える、すき間のある伝え方はないか」と思い、二人の作家と「もやい展」を開催。東京、石川、神奈川で四回開く中で、参加する作家や手伝う人が増えていった。↓

フォロー

<続き>

 「福島で開催したい」と場所を探したところ、南相馬市小高区の双葉屋旅館で知り合った人たちを中心に話が進んだ。長年放置されていた倉庫を手作業で除染。県内外から大工、建具屋、元原発作業員など助っ人が集結し、やがて地元の人たちも作業に加わるようになった。

<中略>

 「『おれ』は地元で老若男女問わず使う一人称。名前の通り、ここが作家も訪れた人も一緒になり原発事故や福島のそれぞれの記憶を自分の表現で語り継ぐきっかけになれば」と中筋さん。

 双葉屋旅館の小林友子さん(70)は「一万三千人いた小高は、今は三千八百人が住む。それぞれ違う体験があり、帰れない人もいる。作品を見て自分の思いを見つめ直すみんなの『記憶の場所』になれば」と歓迎した。

 開館時間は午前十一時~午後五時半。入場無料。八月十六日まで無休。以降は金-日曜日と祝日開館。十一月二十七日からは不定期で開館予定。近くクラウドファンディングも始める。問い合わせは事務局=電090(4311)4402=へ。

原発事故 アートで伝える 南相馬・小高 「おれたちの伝承館」開館
tokyo-np.co.jp/article/265201

ログインして会話に参加
Fedibird

様々な目的に使える、日本の汎用マストドンサーバーです。安定した利用環境と、多数の独自機能を提供しています。