相互理解は難しい。
知識があったり判断が正しかったりする結果として、そばにいる人間をみじめな気持ちにさせてしまう。そんなことをするつもりはなかったのに。
例えば、円高・円安の意味がわからない相手に、トランプ当選が通貨レートに与える影響を理解させることは不可能だ。「あー、はいはい、私みたいなバカには理解できないやつね」と返される。
こちらが時間をかけて説明しようとしても、相手はそもそも理解したくはない。どんなに平易に説明しようとしても、語彙が圧倒的に違う。
知の断絶とでも呼ぶべき断崖絶壁。
結果からいえばこちらが正しいし、
それは後から数字として証明されたとしても、事前の相互理解はできない。議論も成立しない。説明を試みてもただ「あいつらはこっちをバカ扱いしてくる」という憎しみがあるだけだ。
「俺たちはわかっている、あいつらはわかっていない」。
集団がその内部で共有する(わかっている)倫理や情報の是非は各集団の栄枯盛衰でしか証明されず、異なった倫理や情報を持つ集団どうしがわかりあえはしない。歴史上、具体的事例は枚挙に暇がないし、あるいは人類の限界なのかもしれない。悲しい。
おしまい。