[幌メモ その33]
仁木悦子『林の中の家』講談社文庫
〈仁木兄妹〉シリーズ長編第2作目。水原夫妻の欧州旅行中の2年間、留守番とシャボテンの世話をすることを条件に豪邸と外車を自由に使えるようになった兄妹。10月のある夜、女の悲鳴が聞こえた後に切れた怪電話に誘われ、二人は林の中にある家に向かうことに……。
📚 前作と同様に緻密な構成と複雑な人間関係、そして読後感の良さ。粗筋で書けばドロドロの推理劇になる内容を作者の筆致が決してそうさせません。毒の餡を覆う薄皮の上品さ・甘さを堪能できる作品です……まあ、だからこそ作品が本来持っている「毒」の部分が一層際立つとも、いえるのですが 😅
【印象的な言葉】
「つまり僕は、砧警部補も裏切りたくはないが、いろんな耳よりな話をしてくれた、愛すべき人たちも裏切りたくないんだ。また、僕がもし、耳に入ったことを右から左にしゃべるような人間だったら、誰もうちあけ話なんか、してはくれないと思うよ。」
【ココマデ】
📚 「金田一の美学」にも通じる台詞 ✨
読了日 2019年2月4日