引用(2/2)
「いつか」は明日でも、来月でも、きっと来年でもない。
だから、先に行って待っていようと思った。
この身体を離れて、私は葉山の大気に溶ける。
あなたを想いあなたを護る精になる。
あなたを包む風になる。
あなたを暖める火になる。
あなたを潤す水になる。
あなたを支える大地になる。
あなたはそれに気がつくことがないまま、ここは居心地がいいと思ってくれたらいいな。
日曜日に眠りにつき、そして、目が覚めた。
私は、やっぱりまだ、ここから逃げられない。
二階堂奥歯『八本脚の蝶』2002年3月27日(木)分より