欧米諸国が、イスラエルによる無差別殺戮を許してきた背景には、中東における唯一の白人国家であるから、と見る学者も多い。例えば、コロンビア大学のRashid Khalidi教授。
そもそもイスラエルは東欧から植民してきたアシュカナジ(Ashkenazi)と呼ばれるユダヤ系白人によって建国された。もともと中東各地に住んでいたユダヤ人らはマイノリティとして共存。欧州諸国で出てきたユダヤ人差別主義は中東にはなく、イスラエルが建国されたことで、ユダヤ人への反感が台頭。結果的に、アラブ系ユダヤ人もイスラエルに植民。ところが、イスラエル内では、白人が上で、アラブ系ユダヤ人は下。アラブ系イスラエル人で、オックスフォード大の名誉教授のAvi Schlaim氏の歴史と自叙伝を混ぜた著作などを読むと、中東における各人のアイデンティティは、必ずしも国境とは関係ないものだったことが良くわかる。そんな人たちが、何百年も共存していたのに、欧州でのナショナリズムの目覚め、シオニズム台頭、イスラエル建国という地勢的な転換に巻き込まれ、祖国とアイデンティティを失う羽目に陥った。