テンギス・アブラゼ監督、「祈り」。自分の場合、興奮すると最上級のことばを濫用してしまうというクセがある。それを承知のうえで、「人生で最も圧倒された一作」と呼んでみたい。
この映画のことを始めに知ったのは、海外詩特集をおこなった2018年8月の「現代詩手帖」だった。ジャン=ミシェル・モルポワやアン・カーソンの詩とともに、「映画『祈り』三部作」という項があり、はらだたけひで、五月女颯の文章に並んでヴァジャ・プシャヴェラの詩が訳出されている。「祈り」はプシャヴェラの叙事詩を原作にしているが、この号を購入したときには読んでいない。それでも、もともと「映像詩」と呼ばれるような作品には恋に落ちることが多いから、「現代詩手帖」が取りあげるような映画監督であれば気に入るに違いないと思ったのだ。