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語り足りない『柔道龍虎房』 

20年くらい前に新文芸坐で黒澤明特集やったときに有名作は見とくか~くらいの気持ちだった『姿三四郎』がめっちゃくちゃに面白くて、藤田進も素敵だし私にしては珍しく三四郎と小夜さんの恋の行方が気になって気になって、三四郎は良いやつだが照れ屋過ぎて恋はどうにかなるんか!!と思って次の日に『續姿三四郎』も見に行ってしまった。そしたら恋愛はおいといて三四郎の前に登場する対戦相手が変わり者ばっかりでなんか別ジャンルの映画になってて驚いたが、ラストの藤田進の晴れやかな笑顔は最高だった。

『姿三四郎』が瑞々しい青春映画なら、『柔道龍虎房』は夢を諦めざるを得なかった人間が自分自身を許して再起する話で、かつてとは違う形で再び柔道の道を選んだルイス・クーの晴れやかな笑顔が『續姿三四郎』のラストに重なって見える。自分を許した先にある他者への無限の優しさにも涙が出てしまう。香港の雑然とした街とそこで流離う人たちの魅力やいちいち変なエピソードも相俟って、語っても語り足りない、旧作とはいえ今年見た中では一番の映画!

あと冷酷で飲茶好きな暗黒街のボスが柔道が絡むと無限に親切になるのもめちゃくちゃ好きですね!

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