『姿三四郎』『續姿三四郎』に対しては最大の敬意が払われていて、作品内でも引用されているんだけどこんな引用の仕方する!?ってめちゃくちゃ驚く。特に賭場でシト・ポウが大負けして、シウモンがその場の金掴んで逃げ出して二人で駆けてくうちにお金をばらまいて追いかけてきた賭場の用心棒と一緒に札を拾う……という描きようによってはトンチキにもなるエピソードのBGMが抒情的で美しく(ジョニー・トーって音楽の使い方独特だよね…)って思ってたらおそらく『姿三四郎』の中でも相当有名なエピソードが男女逆転で描かれて、映画館で見たときもひっくり返るかと思ったけど再見しても凄かった、元ネタが恋の始まりを予感させるエピソードだったのに、修羅場から逃れるための物凄く乱暴な応急処置になってて、それでもここを起点に主人公が変化し始める重要なエピソードとして描かれてる。主人公の前に現れる柔道家が暗黒街のボスだったりカラオケバーのオーナーだったり、途中の乱闘場面が全員柔道経験者で互いに投げ合ってたりして、対戦相手が変わり者ばっかりなのも『續姿三四郎』を思い出せば納得がいくし、多分シト・ポウの師匠の息子のモデルはあの人だろうし決戦の場所もライバルが勝敗よりフェアネスを取る結末も、敬意に溢れて素晴らしい。