政治家、企業トップの劣化に思うこと。
ハンナ・アレントは「全員が独自の異なる意見を持ちながら全員が平等な社会」、つまり複数性がある社会について思考した。そして「巨大で複雑な問題は複数性の前提=対話を破壊する」と考えた。巨大すぎ複雑すぎる問題を前に、人はうまく思考・対話できなくなってしまう。
ハイテク分野:
個人:イーロン・マスクのご乱心は続く。マーク・アンドリーセンのテクノ楽観主義宣言はお話にならない。Google社内の差別思想は危険水域。Web3系企業からは巨額損失、巨額罰金、逮捕者の事例が相次いでいる。ビル・ゲイツはエプスタインと交流。OpenAIの内紛はサム・アルトマンの資質への評価めぐるトラブルだ。
全体:世界は「テクノ封建制」へと移行しつつある。
政治分野
個人:トランプはまだ元気。バイデンは言動が怪しくガザ戦争で判断を誤る。アルゼンチンではトンデモ極右のミレイが勝利。日本の政界もトンデモ議員の話ばかり。
全体に:世界的な極右の台頭、人権バックラッシュが続く。
人間の脳は1万年前と同じ。だが組織トップが抱える課題はあまりに複雑化し思考が追いつかない。「トップに任せる」やり方は欠陥がある。大勢の普通の人々が力を発揮できるメカニズム——「複数性を取り戻すメカニズム」が必要ではないか。
自由主義経済が好きな人は「計画経済はうまくいかない」という話が好きだ。計画経済がダメな理由は中央の統制では情報処理が追いつかないから。自由市場が「うまくいく」理由は、市場の各アクターが即時性がある情報を経済的インセンティブを持ちながら分散処理するからだ。
そうであるなら、トップが中央から統制するより、大勢のアクターが即時性がある情報を分散処理した方が「うまくいく」と考えることもできるのではないだろうか。
この分野=分散合意形成はブロックチェーン分野で議論が盛んだ。けれども、実は社会に対して応用できる場合があるのではないか、という意見を持っています。