Stryker, Sheldon and Anne Statham Macke. (1978) “Status Inconsistency and Role Conflict,” Annual Review of Sociology, Vol.4, pp.57-90.

「1. 我々は高度に分化したものとしての、社会構造の至極ありふれた見方と、自己構造のあまり知られていない見方から始める…社会構造と自己構造の分化により、次の2つの要素が生ずる。
2. 社会構造は、相互作用の促進と阻害の双方に働く。つまり、ある行為者たちと活動を1つにまとめ、また切り離したままにする。何の活動において誰を1つにするかが、地位の非一貫性と役割葛藤の活性化にとって、またそれらが行動に現れたり現れなかったりするやり方にとって、また起こる行動表明の個人的・社会的帰結にとって、本質的であろう。
3. 自己構造は社会構造と行動の本質的リンクであり、社会的な義務と期待の関連性・適切さを定義し、それらの期待を手配し秩序づける。すなわち、自己構造は、地位の非一貫性と役割葛藤双方の活性化とそれらの解決に対して決定的な影響を及ぼすだろう」p.58.

「現在の研究に多次元的な階層の見方を導入したのは概ね、ベノワ=スマリヤン(1944)、ランデッカー(1952)、レンスキ(1954)の成果だった。
 ベノワ=スマリヤンは、地位と他の社会的位置のバラエティの区別を与えることにより、また地位やそれらの相互関係のタイプを叙述することにより、社会階層の体系的研究を進めようとした。彼は、地位には経済的・社会的および名声という3つの主要なタイプがあると論じている。…彼は『地位転換』過程を提案しているが、それはいくつかの地位を共通レベルにする『地位代替』という心理学的メカニズムを採用している。3つのポイントが、地位の非一貫性理論の後の進化にとって興味深い。すなわち、スマリヤンは次のように言う。(a) 無批判的で洗練されていない観察者は、経済的ないし政治的地位に相当する名声地位を想定する。(b) 『地位平衡』(地位のタイプ間の高い相関)に向かう傾向が法的・慣習的あるいはその他の障壁に干渉される時には、革命的な大きさの社会的緊張が生ずる。(c) もし何か一般的な未分化の地位に似たものがあれば、それは地位平衡過程を制限する項である。つまり、そのような項への第1次近似は、別々の経済的・政治的そして名声地位平均を取ることによって得られる」pp.59-60.

「『階級結晶化』の標語の下で同じ概念的現象を導入し、ランデッカー(1952)は、結晶化の程度がランク分化の程度と正に相関し、社会変動率と負に相関するという仮説を述べている。さらに彼は、比較的単純な社会では家族が、主要なランク・システムの全体的な地位範囲を表すメンバーをそれ自身のうちに含むことによって、階級結晶化を抑制すると記している。社会の複雑性が増すとともに、家族はもはやランクの差には対抗せず、結果として階級結晶化の程度が高くなる。わずかな差が結晶化を妨げるものの、社会の複雑性が増すとともに、ランク・システム内の分化はわずかなものでは済まなくなる。社会変動がランク・システム内のランク差を通じて階級結晶化を増加させる一方で、ランク・システムを互いにより分離させることによって、結晶化を減少させもする」p.60.

「バウマン[1968]は、非一貫性が満足な社会関係を減らすよりもむしろ増やすという証拠を引用した」p.62.

「サンプソン(1963)は、小集団における課題の分離と社会情緒的なリーダーシップに固有の非一貫性が、ストレスフルな効果を持たなかったことを観察した。彼の推論は、役割分化が規範的すなわち期待されたものだったので、期待された地位の非一貫性はストレスを作り出さなかったのだろうというものだった。この論法から『期待一致の原理』が出てきたのであり、それは、人々が経験に見合った一貫した一連の期待を求め、期待と経験の分離により客観的地位の非一貫性はストレスの活発なエージェントになる、と論ずる」p.63.

「ゼルディッチ&アンダーソン(1969)…自身のランクがアンバランスな行為者は、もし同様にアンバランスなランクにより比較が他者を怒らせるならば、これを動揺的なものとは考えないようだと記している。そして彼らは、必ずしも全ての比較が、非一貫的効果の背景にある比較の種類が、罪深さや相対的剥奪を惹起するとはかぎらないと記している。彼らは、関連する比較を活性化する諸条件が理解されるまでは、地位の非一貫性理論は非確定的なものにとどまることに特に気づいている。孤立、孤独、役割分化、個人や階層の移動、地位の再評価そして再定義(地位に割り当てられる相対的ウェイトを、個人的に、あるいは集合的な政治過程を通じて変えること)は、地位の非一貫性の可能な帰結と見なされている。重要なことに彼らは、地位の突出と自己評価を理論に導入している」p.64.

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「ランシマンとバグリー(1969)の、準拠集団理論の特殊ケースとしての地位の非一貫性という見方。彼らは、行為者が社会に存在する文化的資格に従って正当に扱われない時には、準拠集団比較が、相対的剥奪を作り出すことによって客観的非一貫性の帰結を常に明確化すると論じている」pp.64-5.

「1960年代の地位の非一貫性研究への批判的反応は、その強調点を記すことで要約できる。(a) 結論の出ない発見が、概念的明晰化と理論的明細化への絶望的な必要性を示している。(b) 地位の非一貫性概念は論理的には、別々の地位次元が関連し得る基礎的な一般的地位次元を前提しているが、特定の次元を包含する個別の階級も一般的地位連続体も、米国には存在しないと証拠は示している。…(c) 地位の非一貫性データを分析する『正しい』方法は、地位の非一貫性を操作化するために用いられる地位次元の線形加算効果から始めて、地位の非一貫性効果を同定するモデルを用いることである」p.65.

「ランドールとストレイサーは、標準的な地位の非一貫性理論の修正を提供している。どの反応が起きるかを決める上では、高い方の地位よりもむしろ低い方の地位が最も重要である。自己非難が起きるかシステム非難が起きるかは、システムに対する正当性帰属の関数である。犯罪や攻撃は、もっともらしい反応であるが、典型的とは見なされない。そして政治的反応の方向性は、非一貫性のタイプのみによってよりもむしろ、諸変数の複雑な結合によって決まる」pp.68-9.

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