「1. 我々は高度に分化したものとしての、社会構造の至極ありふれた見方と、自己構造のあまり知られていない見方から始める…社会構造と自己構造の分化により、次の2つの要素が生ずる。
2. 社会構造は、相互作用の促進と阻害の双方に働く。つまり、ある行為者たちと活動を1つにまとめ、また切り離したままにする。何の活動において誰を1つにするかが、地位の非一貫性と役割葛藤の活性化にとって、またそれらが行動に現れたり現れなかったりするやり方にとって、また起こる行動表明の個人的・社会的帰結にとって、本質的であろう。
3. 自己構造は社会構造と行動の本質的リンクであり、社会的な義務と期待の関連性・適切さを定義し、それらの期待を手配し秩序づける。すなわち、自己構造は、地位の非一貫性と役割葛藤双方の活性化とそれらの解決に対して決定的な影響を及ぼすだろう」p.58.
「『階級結晶化』の標語の下で同じ概念的現象を導入し、ランデッカー(1952)は、結晶化の程度がランク分化の程度と正に相関し、社会変動率と負に相関するという仮説を述べている。さらに彼は、比較的単純な社会では家族が、主要なランク・システムの全体的な地位範囲を表すメンバーをそれ自身のうちに含むことによって、階級結晶化を抑制すると記している。社会の複雑性が増すとともに、家族はもはやランクの差には対抗せず、結果として階級結晶化の程度が高くなる。わずかな差が結晶化を妨げるものの、社会の複雑性が増すとともに、ランク・システム内の分化はわずかなものでは済まなくなる。社会変動がランク・システム内のランク差を通じて階級結晶化を増加させる一方で、ランク・システムを互いにより分離させることによって、結晶化を減少させもする」p.60.
「ゼルディッチ&アンダーソン(1969)…自身のランクがアンバランスな行為者は、もし同様にアンバランスなランクにより比較が他者を怒らせるならば、これを動揺的なものとは考えないようだと記している。そして彼らは、必ずしも全ての比較が、非一貫的効果の背景にある比較の種類が、罪深さや相対的剥奪を惹起するとはかぎらないと記している。彼らは、関連する比較を活性化する諸条件が理解されるまでは、地位の非一貫性理論は非確定的なものにとどまることに特に気づいている。孤立、孤独、役割分化、個人や階層の移動、地位の再評価そして再定義(地位に割り当てられる相対的ウェイトを、個人的に、あるいは集合的な政治過程を通じて変えること)は、地位の非一貫性の可能な帰結と見なされている。重要なことに彼らは、地位の突出と自己評価を理論に導入している」p.64.
「バウマン[1968]は、非一貫性が満足な社会関係を減らすよりもむしろ増やすという証拠を引用した」p.62.