都筑道夫「やぶにらみの時計」(徳間文庫)を読んだ。
https://www.tokuma.jp/smp/book/b594736.html
面白かった!
東京という舞台で昭和初期のレトロモダンな空気感と「一夜明けると全くの別人になっていた」設定が、ある種SF地味ており荒唐無稽だが、二人称の迫真な語り口がサスペンスのようにも感じた。
「何故全くの別人になっていたのか」を昨晩の行動を思い起こし、一つ一つ紐解いて行くので、根本は推理小説として楽しめたし謎を紐解いた先で新たな謎が生まれて、読んでいて飽きさせないのも良かった。
結末は少し呆気ないが、叙述のトリックと入替や偽証のトリックは近年では珍しくなくなったものの複雑に絡み合ってて上手く作用していたように思う。