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読書備忘録『アメリカ怪談集』 

*河出文庫(2019)
*エドガー・アラン・ポオ 他(著)
*荒俣宏 他(編訳)
怪奇幻想文学と宗教は不可分の関係であり、キリスト教に影響されてきたヨーロッパの怪談を起源とする近世アメリカ怪奇小説も例外ではなかった。けれどもアメリカでは疑似科学やオカルトをとり入れた独自の心霊学が構築されていき、怪奇幻想小説・推理小説・SFなどの興隆に多大なる貢献をしたエドガー・アラン・ポオを始め、恐怖のかたちをジャーナリスティックな視点で表現したアンブローズ・ビアス、異次元の怪物と超常現象を織り交ぜて宇宙的恐怖を創造したハワード・フィリップス・ラヴクラフトといった偉大なホラー・アーティストが誕生した。中には世界的SF作家として愛読されているレイ・ブラッドベリの名前も含まれている。錚々たる顔触れだ。博覧強記の荒俣宏氏によって編集された『アメリカ怪談集』は、アメリカにおける怪談の潮流を伝え、その魅力を饒舌に語る贅沢な詞華集である。収録されている一三編の恐怖譚は国境も時代も超えて、現代日本で暮らす私たちにも強烈な印象を残す。

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