「社会構造がそのように然らしめている」という理解と「だから問題はない」という結論とは全く別で、というか二つは原理的には独立なのだが、多くの場合、前者は後者を導かない。
では、社会構造などと言わないで問題だけ指摘すればいいのか、というとそれも違う。なぜなら、その場合、加害者を批判したり処罰したりすることはできるし、加害者も時に反省したり再発を防ごうと努力したり(あるいは開き直ったり)するのだが、結局のところまた同じ事態が繰り返されるからである。
もちろん、責任は責任として追及されなければならないのだが、しかし、それによって被害の拡大や再発を防ぐことはできないのだ。このへんに社会問題への対処の難しさがある。