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『ハリケーンの季節』(フェルナンダ・メルチョール)読み終わった。メキシコの新聞の片隅に書かれた魔女が殺害された事件に着想を得た小説。スペイン語圏の小説というのは往々にして宗主国の言語で書かれているらしいが、これはベラクルス州の方言で書かれている。架空の地域を舞台に、女性やクィア、黒人などあらゆる差別が横行し、あらゆる弱者が蹂躙される。
少年たちは地元から逃げようと企むが、それもうまくいかない。加害的な少年が別の少年を憎みながらも希求し続け、最後に牢屋で巡り会ったときに「おれのものだ」となるのは、究極のマチスモ的描写だと感じた。貧困と徹底したマチスモ、そこから逃れることの困難さには『エディに別れを告げて』を思い出す。受け止め方が難しい小説。
十三歳で妊娠して、死ぬために唯一良い思い出がある海を目指す(がたどり着けない)少女の物語が心に残った。

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