「自由主義」「民主主義」もそうですね。「正しいあるべき姿」程度のニュアンスで使われているだけのことが多い印象です。
この語を自民党等「保守系」が使う場合はただの「反共」の意味ですが、その用法の歴史がそれなりに長い(=敗戦以降の歴史)ので、具体的中身を改めて考える習慣が社会的に失われている傾向も感じます。(それこそが反動勢力の思う壺なのですが)。
小泉政権以降には「既得権」が頻出します。「悪」の意味で。加計問題の時も盛んに使われていました。
重要な意味を持つ基礎表現が、ほとんど中身のないペラペラな記号として使われ、その上で議論の空中戦が行われるこのような状況はとてもまずいと思います。
そして、現権力を批判するのに不可欠な単語群、すなわち「基本的人権」「多様性」「差別」「優生思想」などが現在、ペラペラ記号化の危機に曝されている気がします。
こうした単語群を武器として使う必要がある側にこれら表現への洞察が浅いと、かえって重要な概念の浅薄化が進み、迷走する議論の空中戦に絡め取られてしまいかねない危惧を持ちます。