資本家にとってウォーク資本主義には二つのメリットがある。一つは消費者の信頼を獲得することだ。事業を金儲けでやっているのではなく、社会正義実現のためにやっているのだと思わせてしまえば、消費者はその企業の商品を購入する。また、その企業で働く労働者を「社会貢献だ」と言って低賃金で働かせることもできる。つまり、企業が社会貢献活動をアピールするのは、人や地球のことを考えているのではなく、安定してカネを稼ぎ続けるための手段なのだ。本書に登場する事例は、海外のものだが、日本企業、あるいは政府がやっていることも、本質的に同じだと思う。