【その3】人権か、国家か
私は、どちらかといえば保守派です(革命を志向するより、漸進的な改善の方が苦痛が少なく好ましいと考えています)。
しかし国家を人権より上位に置くウルトラナショナリズム(極端な国家主義)は否定します。
国家の目的は、住む人の人権を守り人権状況を向上すること。国家の伝統やら秩序やらのために人権を侵害するのは本末転倒で主権在民の原則に反する。
ただし、治安維持や安全保障の言葉は人権の言葉から乖離しており、人権侵害に結びつく結論を導きやすい。(ガザのイスラエル軍の言葉を思い返してみるといい)
この分野の言葉のアップデートが必要だと思ってます。その観点で緒方貞子、アマルティア・センが提唱した「人間の安全保障」は重要。
治安維持や安全保障も、その究極の目的は「人々を守る」ことです。
現状、人権侵害を行う最大の団体は軍、治安維持部隊、法執行機関なので、この分野の「言葉と思考のアップデート」が文明の進化に必要だと考えています。
人権に関する3つの話。
【その1】手塚治虫と、人権の理念と
手塚治虫がなぜ「基本的人権を茶化す」ことを戒めたか。私の意見は「それは文明の後退を意味するから」。
人権のバックラッシュ(逆行)は、つまり文明の後退。食い止めたい。
現実世界で多くの人々の人権が無視され侵害されている事実は、人権という規範倫理を無効化しない。
As Is(現状)をTo Be(理想)に向かって変えようとすることは、とても人間的な振る舞いだ。
グローバルサウスは先進国の二重基準を批判するが、人権を否定しない。人権は世界が共有した規範だ。
私たちの社会は、なぜ市場経済を認め称揚するのか。
私たちの社会は、なぜ科学技術を認め称揚するのか。
そこに、一握りの人々の欲望を満たすだけではなく、すべての人々を豊かに幸せにする公共性を認めているからだ。
そうであるなら、文明の究極の目的は人権状況の向上である、と言える訳です。
【その2】人権を侵害する最大の団体は
悪名高い日本の人質司法も入管も、人が死んでいるのに誰も責任を負わない。
人権を守る最も重要な団体は行政機関だが、一方で世界的に見て人権を侵害する最大の団体は治安維持部隊と法執行機関。その監督責任を軽視してはならない。
(続き