戦車のここが好きという話。
手前が、38(t)で、大戦初期の戦車。奥がタイガー II で大戦末期のものです。どちらもナチ・ドイツによって運用されました。見てお分かりの通り、サイズがもう全く違う。天面の投影面積で、4倍近い差がある。大戦期の戦車というのは、短い期間にそれは恐ろしい恐竜的進化を遂げたものなのです。
手前の戦車を運用するのでやっとの人類が、わずか数年で奥の巨体を運用するようになりました。そこにどれだけの国家の生産力と、人間の努力と知恵がつぎこまれたものか。想像もつかないリソースがつぎ込まれました。ただ人を殺すしか能の無い機械を作るためにです。戦車の形というのは、人間の知恵と、そして愚かしさをそのまま具現化したようなものなのです。
私は、その形のどうしようもなさに惹かれてしまう。手元で組み立て、色を塗り、命を吹き込むのをやめられない。その姿の壮観さと、そこに潜んだアイロニーを間近で観察したいのです。悪趣味だと、自覚はしています。