『ミミズクと夜の王』感想
読了。
人外もののおすすめで教えてもらった『ミミズクと夜の王』文体も軽くて読みやすかった。
優しい魔王の話だった。そしてその近くの国にたまたま優しい人が多い世界の話だった。でも、人間は決して優しいだけじゃないとも書いてある。
夜の森の中の話はすごく好きだったなぁ。
もともと15年前くらいの作品だから仕方ないんだろうけど、ディアは今ならあのままで王位についてほしかったなって思う。魔力が多く魔術師が活躍する国なら車椅子の王が問題なく執務できるように色々改良出来たのでは?ってちょっと思っちゃった。
本篇のラストも異類婚姻譚ものとしては良いんだけど、新装版で書き下ろされた前日譚にさらに付与された後日談だ個人的には蛇足だったな。
人外を愛してその寿命差は分かってるけどそれでもずっといるよ、死んだら土に帰って花となってあなたのそばにずっといるよ、と言う愛の言葉が好きだった。もちろんミミズクが人外になったのも、魔王がミミズクを手放せなくて2人で決めた事だろうし、そのエンドはそれで好き。
でも、人間の子供を作ってるのはこれいかに??あれから数年から10数年くらいしか経ってないだろうから人外になる前に生んだかも知れないけど、そして魔王元々は人間らしいから人間の子供できたかもしれないけど…
『ミミズクと夜の王』感想
でもやっぱり個人的にはここは蛇足だったなぁ。
子供を産む事自体はいいんだけど、望んで産んだ子を赤子の時点でオリエッタとアンディに預けたのが1番もやるポイントなのかもしれない。自分達は人としての生を望まなかったけど、この子は望むかも知れないから、と子供のできないオリエッタとアンディの夫婦にその子供を預けるのはこの2人なら幸せにしてくれると分かっててだし、事実2人は騎士として巫女として育ちなさいと言われてたからコノハにはそれを押しつけずにコノハが望むように育ててるし、愛してるし、ちゃんと本当の父母は別にいて、とても君を愛しているよと伝えてる。
それはミミズクにウチの子になって欲しいと思ってた夫婦へのミミズクなりの答えかも知れないけど……。
みんながみんな優しいけど、でもなんか最後引っかかってしまった。
結局コノハは森を守る一族になるし、血のつながりは切れないんだよな…。アンディが結局騎士になったように。
みんな優しいけど、優しすぎてその世界から離れられない。