インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア ネタバレ含む感想
耽美な吸血鬼ものという事で絶対自分好みだと分かっていて前から気になってたのですがウォチパで初見できてほんとにうれしー!! 一人で映画を見る能力がなさすぎる!!
終始画面が華やかで美しい!!! のでそれだけで見る価値のあるお話だなあと思いましたこの映画…
顔の良さって見る人の視線をくぎ付けにするんだぁということが体感できる…みんな顔が良い!!
なおかつ200年前から現代まで、それぞれの次代を反映した豪華な背景や服装が見られて、常に絵面が豪華…
ファンタジー系の衣装とか風景に興味がある人はすごい楽しいと思います!!
お話としては人を手に掛けないと生きて行けない、成長もできないし常に孤独な吸血鬼の悲哀や悲劇性が強調されてて切なかったです
切ないけど出て来る吸血鬼主人公以外人間くささやダメさが極まってるカスばっかでそこも…長い年月、人間を殺しながら良心捨てながら退廃的にただ生きてるとこうなるんだなあという反面教師になる…
吸血鬼たちは自分たちが人を吸血によって結果的に殺すことに関して「美学」「美意識」みたいな事を口にするんですけど、そういう風に自己を定義しないとやっていけない、都合よく世の中を解釈しないとやっていけない故の欺瞞だよな~~~(というのが人間の魂をまだ残している主人公の目にはありありと映っていそうなのが言外に伝わってきてそれもまたよい…)
同族の吸血鬼の女子供を同族殺しの罪のために日光で焼こうとし、主人公のことは壁に生き埋めにしようとする吸血鬼どもの生き生きしてる様やばかった(新鮮な娯楽だ!!!! って感じで…)
そしてその様子を見てたのに自分の都合(主人公の事は気に入ってるけど同族殺ししたクローディアという主人公の連れの女の子は仲間にできない)によって中途半端なタイミングでしか助けに来ないアーマンド(なんかちょっと頼れる人っぽい感じで最初は出て来る人、地下墓地で暮らしてる吸血鬼集団のリーダーの人)の嫌な大人感……
しかもアーマンド、自分の仲間たちの醜い生き方を嫌って、主人公が復讐で自分の仲間たちを皆殺しにしているところも見逃して主人公だけ助けてくれるという
上っ面や表向きの言動だけ見ると立派に見えるけどだいぶ生々しく嫌な人だ!!(実際主人公には一緒には生きて行けないと振られてしまった)
長い時間を生きてるから精神が荒んでいて主人公(ルイ)みたいな青臭くて藻掻いている人間みのある吸血鬼を好きになって横に置いて一緒に生きて居たい、と思ってしまう吸血鬼たちの気持ちもちょっとわかってしまう
本人たちは直球では口にはしない(物言いとか表現が婉曲なのもこの映画の雰囲気づくりに貢献している…)けど、寂しい人生なんだろうね…
でもエゴで道連れを増やして悲劇を増やしているようにしか見えない…
過去を懐かしんで、失ったものを追い求めて、やってはいけないことを繰り返して次こそは上手く行く、失ったものがあれば何かと取り戻せると囚われながら生きて居る…
そういう意味では序盤から登場していたレスタトさん(超美形、超美形、主人公を吸血鬼にした吸血鬼)終始良いキャラでしたね
(トム・クルーズがこの役のために十数キロ減量して、微妙だった前評判を覆してハマり役として絶賛された…という逸話だけ知ってたんだけど、納得の恐ろしい顔の良さだった…)
常に癇癪みたいなテンションだし、主人公のナイーブさにキレながらそれを愛でている…
娘のような幼子の吸血鬼が仲間になったらはしゃいでめいっぱい人形扱いして可愛がってしまう…でもそれは対等に見ている愛ではなく、人の愛し方を知らないんだろうなあみたいな感じの…寂しい人…
その娘の方が先に精神年齢が上回って大人の女性の中身になってしまう それでも(本来父親や善き先導者でなければいけない立場なのに)中身ずっと変わらない…
そういう駄目さが詰め込まれていて、やることは最悪だけど、どうしても子供のような憎めない部分がある…
「こいつどうしようもねぇな!!!」ってなったあと一度物語から退場して、そのあとアーマンドやアーマンドの仲間のまた一味違った駄目さを見た後だとレスタトの子供っぽいダメさが恋しくなってくる
アーマンドから「レスタトを知ってはいるが失って惜しい吸血鬼ではなかった」みたいな事言われてるのも残念ながら当然というか、カスだと思って描いている(そうでなかったらヤバいが?)のが伝わってきて良かった 笑う
そんでこの映画オチが非常に良かったです
主人公が非常に湿っぽいタイプの内省的で真面目なキャラなので、真面目な感じに終わるんだろうな~~~~~と見せかけて、まさかの現代に順応しまくってる元気いっぱいのレスタトさんで〆
とっても笑ってしまった
主人公のクソ真面目な話を聞いていたインタビュアーが「自分も吸血鬼になりたい!!!」と言い出す話聞いてなさっぷりも「おい!!!」って感じで良かった
それに激怒して当然それを却下して消える主人公と、急に現れてノリノリでインタビュアーの血を吸っちゃって吸血鬼になるも死ぬもお前次第だ、なレスタトさんの対比~~~~!!!
でもほんとこういう「人外になって永遠の命を生きる」「長い時を生きるゆえの悲劇いっぱいの悲しい人生」みたいなのに憧れてしまうのは、フィクション作品を好んで見ている自分には思い当たる節があって、見ている自分に重なるところあって皮肉が効いててアイタタ…ってなる所がある
「話聞いてたぁ!?!?!」って画面の向こうのキャラクターには言えるんだけども、自分で体験して後悔しないと、絶対に苦しいだけと忠告されまくっていても、そんなに簡単に人の言葉から学べないのだ…
そういうしょうもない人間を、しょうもない人外として新しい世界へのドライブに連れてってくれるレスタトさんのご機嫌さ最高
(現代文明に適応できなくて夜の灯りこわい!! てしなしなしてたのに、人間の血を吸った瞬間に元気いっぱいになってカーステレオで音楽流しながら車運転し始めてる!!! お前!!! 超現金!!!)
陰に傾いてた耽美な物語が、オチでバランスが良い感じに取れた感じになって、なんだかにっこりしてしまいました
ウォチパありがとうございました~!!
#同時視聴たのしい部