映画『メサイア・オブ・デッド』(1973)
ジャンル映画的な見せ場はほとんどないけど、全編に立ち込める不穏な空気が素敵
ひと気のない夜の商業施設や田舎町の寂しさがいつの間にか不安感・恐怖感に転じているような、ひたひたと迫ってくる感じの恐怖
偶然というかある種の神がかり的な力(たとえば『悪魔のいけにえ』に宿った何かのような)もかなり味方してる気がするけど、いずれにせよ同時代の米国製低予算ホラーのなかでもかなり異色の作風なのではないかと
退屈なのに妙に堂々としてる感じはどっちかというと欧州の低予算映画に近いかもしれない
ジャン・ローランとかジェス・フランコとかそんなの
あとかなりこじつけ気味だけど、場面によってはリミナルスペース的な不安感を喚起するようなところもあった気がする
若干とってつけたようなアートフィルム風味も、映画の見世物/芸術の両側面が未分化・未整理な時代ならではの感じがして自分は好きだった
見てよかったといえる