映画『喜劇 一発大必勝』(1969) ※弱ネタバレ、少し残酷、下品
個々のシーン・描写への具体的な言及あり
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乱打されるパーカッション+画面いっぱいの黒煙をバックにタイトルが現れるオープニングがかっこいい。
破天荒な主人公が周囲を振り回す点はこれまでの作品と共通してるけど、本作では主人公の行動原理に一貫性を感じなかった。たとえば『馬鹿まるだし』の主人公による所業の数々は基本的に人助けのためのものだったし、『喜劇 一発勝負』の主人公は一攫千金と地域の発展を目指していた。本作の主人公は場当たり的に暴れているだけのように感じた。
『一発勝負』にも出てた谷啓が本作でもとてもよかった。主人公とは対照的に、真面目かつ穏健で言動に自分なりの一貫性がある人物(ただし要所要所で逆上する)。終始主人公に振り回され反発しているから仲間ではないのだけど、あまりにもかみ合っているのである種のバディものを見ているような気分になった。実質的にダブル主役だと思う。
描写的には、これまでよりも若干過激・露悪的なものが多かった。序盤で主人公が、友人の死に際して不義理を働いた長屋の住人たちに対して「遺骨をすりこぎで粉状にし、湯で溶いて飲ませる(一応醤油で味付けはしてくれる)」という独創的すぎる復讐を行うところはとてもよかった。
あとは、夢の中の出来事だけど、首が切断される(切断面をはっきり見せはしないけど血は流れている)シーンもあった。
これまでの作品にはありそうで意外となかった、不潔・下品なネタもいくつかあった。歯を磨いている谷啓の歯ブラシを奪って自分の歯を磨き、また谷啓の口に突っ込む→谷啓のコップを奪って口をゆすぎ、口中の水をコップに戻す→谷啓が悲鳴を上げて必死に口をゆすぐ、とか。あとは肥溜めに落ちてプロポーズ失敗とか(周りにいる長屋の住人も無意味に屎尿を浴びる)。
この辺の過激・残酷・下品な描写は好みであるはずなのだけど、いまいち盛り上がらなかった。やはり全体の構成が散漫だからかもしれない。 #映画 #コメディ映画
映画『喜劇 一発大必勝』(1969) ※弱ネタバレ、少し残酷、下品