『フューリー』 (2014) ※作品へのネガティブな言及 

作り手の戦争観があまり見えてこない映画だと思った。冒頭の馬にからんだシーンに象徴させているのかなと思ったけど、それ以降に戦争というものへの相対的な視点を感じる描写があまり見当たらず、もうひとつ判然としなかった。
もっと普遍的・抽象的な死生観みたいなものは登場人物の信仰などを通して描かれていたけど(これに関しては、自分がキリスト者ではないせいかあまりピンとこなかった)。

そのように本作における戦争観が明らかにならないまま、連合軍が独軍と勇ましく戦うところを完全な連合軍視点で見せられるので、作り手のスタンスは「連合軍は正義、独軍は悪。それ以上のことは考えなくていい」といったものなのだろうと受け止めざるを得なかった。申し訳程度に「ドイツ兵だって人間ですよ」的なシーンが差し挟まれたけど、自分には安直なエクスキューズにしか見えなかった。

全体として、戦争観を含めた内省的な要素に関しては表層的・中途半端に感じられた。それが何かの不足によるものなのか、「これはあくまでエンタメであって内省要素はトッピングでしかない」的な考え方によるものなのかは分からない。もし後者だとしたら、それはそれでひとつの現実的な選択だとは思う。自分としては、そのような映画を見るぐらいならエンタメに全振りした殺戮ショーを見たいけど。

以下は単純に「兵器が登場するアクション映画」として見た感想。
1台の戦車の内外での出来事にここまで焦点を絞ったアクション映画は初めて見たと思う。当時の戦車の構造や操縦・攻撃方法、戦術などが描かれていて面白かった。
人体破壊描写もけっこう気合い入ってた。残酷エンタメとして目を引くところがあった。

あとは初期の「ウォーキング・デッド」でリックの相棒の元警官役をしてた俳優さんがよかった。ジョン・バーンサルという人らしい。客にストレスを与える演技が本当にうまい。憎まれ役以外の役どころでも見てみたいと思った。

#映画 #アクション映画

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ル豆(雲)  

『フューリー』 (2014) ※作品へのネガティブな言及 

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