続き
楽曲については、ミュージカルはあまり見ないから分からないけどよい出来なのではと思った。子どもたちがミュージカルの素晴らしさを歌い上げる健全そのものの楽曲と、犯人がミュージカルへの憎悪を叫ぶメタル風の楽曲がマッシュアップされたりとか。話の流れにフィットするようきちんと作られてる印象。
上述のように犯人の感情はメタル風の楽曲によって表現される。この犯人がかなりクレイジーなキャラクターで、やたら饒舌に喋り、叫び、歌いまくる。それはは楽しくてよいのだけど、そのクレイジーさがメタルというよりパンク的な感じなので、楽曲のテイストとのズレが一度気になりだすとちぐはぐなようにも思えた。まあメタルとパンク双方の流れをくむジャンルも定着して久しいのだし、気にする方が潔癖すぎるのかもしれないけど。
あとは作品内で上演される演劇のコンセプトの関係上、主人公がかなり濃い目(KISSへのオマージュ?)のメイクをしているのは残念。ホラー映画において恐怖におののく人間の顔は恐怖や緊迫感を演出するうえで重要な要素だと思うけど、それを手放してまで演劇をああいう内容にしたかったのか…?と。そこまで魅力的なコンセプトとも思えなかったし。
(続く)
ついでに、オペラ座xホラーといえば
https://www.allcinema.net/cinema/3789
破綻と矛盾と偏執にまみれた素晴らしい映画
監督のダリオ・アルジェントは『アクエリアス』の監督の師匠です
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あと、「襲われる人によるミュージカルパート」がほとんどなかったのも残念。せっかくホラーxミュージカルをかけ合わせるのだから、逃げまどいながら・殺されながらその心情を歌うシーンなど見たかった。
とはいえ正統派(風)のミュージカル要素とホラー要素の対比は十分に効果を上げているように思えたし、安っぽいこけおどし的な演出に頼ってもいない。挙げたような不満点も、自分が気づいていないオマージュなどに起因するもので何かしらの必然性があるのかもしれない(そもそもオペラ座~小説の内容をほとんど覚えてない人間なので…)。
暴力・残酷描写は思ったほど多くないものの、一つひとつは容赦なく、かつアイデアに富んでいた。ホラー好きなら見ても損した気分にはならない映画だと思う。