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君たちはどう生きるかの感想 

物語そのものより宮崎駿の最後になるであろう作品…というメタ視点込みで鑑賞する部分が大きかった。その上でぐっと来て泣いてしまった。

軸が複数ある中でも、想像と現実の関係性というテーマが一番私にとって大きかった。
塔の中は想像の世界そのもので、私たちも現実の苦しみを逃れて想像の世界に行く。けれども大叔父のようにその世界に生きる人は結局どこか閉塞し、手詰まりになっていく。塔の中の世界も眞人が生きる現実の乱反射を受けている。だから想像の中に純粋な理想の世界を作ろうとしても、最終的にその塔は崩れるし、我々はやがて現実に帰っていく。それは厳然とした事実としてある。でも塔の中という想像の世界が何の意味も持たないわけではなく、眞人は塔の中を冒険したことで明確に変わっていくし、塔が崩れたあとも彼にひとつの積み木が残された。
そういう想像世界の閉塞、崩壊と、でもその先に何も残らないわけじゃないという後に続くものへの信用。そういった価値観、まなざしが宮崎駿というアニメーションに命を燃やした人間から最終的に高純度で出てきたことに感動したので、私は泣きました。

お前たちも自分の塔を作れ。いずれ崩れるとしても、善き塔を作ろうとしろ。ちゃんと苦しめ。宮崎駿にそう言われたんです私は……

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