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かわいいもの 

「イケメンアイドルの趣味がぬいぐるみ集めですって」
僕の家でまったりする、いわゆるお家デートという日のこと。食後に付けていたテレビを見てヘルがふいに僕にむけて言った。
「本人恥ずかしがってるけどギャップってやつで盛り上がるものなんでしょうね」
「それを僕を見ながら言う意図は?」
「あんたも顔はいいんだから持ってみたら?かわいいぬいぐるみ」
案外似合うかもよと言うヘルの顔は、どう見ても揶揄いの色が見えた。にまにまと笑う顔に片眉を上げる。
「笑われるのは好きじゃないって言ってるだろう」
「ぬいぐるみは嫌いじゃないでしょ?いいじゃない、癒されるかもよ?」
「わざわざ用意しなくても、かわいいものならもうあるからいいよ」
そう言ってソファに座っていたヘルの横に座り、彼女をひょいと持ち上げて膝に乗せた。
「へ?」
「持ってみたよ、かわいいもの」
「かわ……?…………はあ!???」
最初はよく分からなかったみたいだが、ぎゅっと抱えているうちに、僕の言いたいことを理解したらしい。ぼふんと音がするくらいに顔が真っ赤になって暴れ出そうとした。当然そのくらいは分かっていたので、逃げられないように腕を回して固定する。
「違う、これは違う……!」
腕の中で悶える声が聞こえるけど、僕からすればかわいいことには違いない。

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