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読んだ。
『「みんな違ってみんないい」のか? ─ 相対主義と普遍主義の問題』山口 裕之 著
chikumashobo.co.jp/product/978

多様性を尊重したように見える「人それぞれ」という言葉、実は人間の相互理解を放棄する易きに流れた思考停止の言葉である、と初手から重めの一撃。この言葉は新自由主義そのものであり、人々の連帯を分断し、結局は権力と金を持つものを優位にする便利な言葉であるという。

第2章で人間は生物として言うほど「人それぞれ」ではないこと、第3章でさまざまな学問の歴史的流れの点検を行いながら「道徳的な正しさ=人間行為の正しさ→他人に対する行為や他人を巻き込む行為の善悪」のためには人同士の十分な話し合いの努力が必要であるということを見ていく。

第4章ではオルタナティブ・ファクトの問題から実在論の復権と問題点、科学はどのようなものであるかを点検し、科学における「正しい事実」はみんなが認めることによって成立するのである、ということを確認する。

「より正しい正しさ」のためには、面倒くさい他者ととことん付き合い、頭を使って考えるということが必要である。というお話。

これってめっちゃ卑近なところでいうと夫婦関係もそれなのよね……とこれを書いてて今思った。

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