田沼朝『いやはや熱海くん』1巻
大変好きです。おもしろいなー。温度感とテンポが良い。
こういう「文化の共有のできなさ」みたいなものってすごく残酷だなぁと思うんだけど、個人間だけで見れば、その残酷って乗り越えられるところもいっぱいあるんだよね。
でも個人の乗り越えだけではその残酷な溝は埋まらずに人は社会的に死んだり殺されたり簡単にしてしまうので、だから社会には「理解」ではなく「尊厳と制度」が必要で、社会にはそれを求めるんだけど。
セクシュアリティにせよ家庭のことにせよ、なんにつけても。
ドラマチックではない日常の残酷って、こんな感じのぬるいやさしさのなかにあって、案外大丈夫で、でも突然決壊してブチリと社会から切り離されて不可逆的に戻れなくなっていたりするから怖いよね。
おもしろいなぁ、かわいいなぁ、この作品の淡々としたゆるさ好きすぎる! と心から感じていて、そう書こうと思っていたのに、いざ感想書き始めたらこんな文章になってるんだから、やっぱり文章書くっておもしろいな。
言葉にするという過程で、私は私の形をやっと認識できてるんだなぁ。ここまでかよ。
2巻も待ち遠しいし、作者さんの別作品も絶対読みたい!