ラストマイルのネタバレ
「エモ(観客の感情の動き)を作るためにはどういうシーン作りが必要か」をよくわかっていて、工学的にシナリオが組まれている。だけど、全体的なリズムや緩急のつけかたはセンスなので、その言語化が難しい部分に凄さがある。
どこをこだわってどこを割り切るかの判断や、全体をまとめ上げる力がものすごく、この監督・脚本のチームはすげえなあと感心するばかりでした。
結構無茶な題材で、ドラマより尺もない中で群像劇をやり切ったのはすごいと思う。多少無理やりとはいえ、通販サイトの最上流(本社)から最下流(顧客)まで描いて着地させているのは単純にすごい。
演技すげ~ってなったのはコウとヤギさん。あと飛んだ人。
逆に主人公である舟渡エレナのキャラはちょっと浮いてるように感じた。桃太郎と金太郎が~のスベリ例え天丼ギャグも個人的にはシンプルにスベっててあんまりだった。
あと、真にシェアードワールドを体現しているのは刈谷刑事なのはおもろいね。便利キャラだもんな。MIUとアンナチュラルを期待して見に行った人には肩透かしだったろうけど、本来機捜も検死も事件全体においては「端」の仕事である、という感じがして、逆に良かった。病室でMIUとアンナチュラルが完全に交差するシーン地味ながらファンには激熱なのでは。
ラストマイルのネタバレ
エレナ犯人説のミスリード展開を作る都合や警察の捜査を遅れさせるためなんだろけど、実はアメリカで昔会ってましたは大概強引な脚本だとは思った。
犯人のデリファスへの執念がすごかった、ということで強引に片付けてはいるが、他がやたら丁寧なのでここだけかなりパワーを感じた。そういうパワーな辻褄合わせ嫌いじゃないからズッコケつつウケました。
miuの時点で、ゴールとなる展開から逆算してシーンやセリフを補完して伏線にするのが得意な脚本家さんという印象で、最後の洗濯機は特に顕著。そもそも急なシンママ家族の差し込み自体にそれを感じた。
シンママ家族の差し込みもかなりわざとらしい脚本なのだが、「通販サイトの恩恵を受ける人々」を描くにあたり、ベタなハートウォーミングなエピソードを差し込むことで、「通販依存をやめよう」みたいな主張をしたいわけではない、通販サイトを悪にしたいわけではない、という断りになっている。もちろん最後のハラハラを作るためのものでもあるので、とことん機能的な脚本だなと思う。