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今日はちくま文庫から出ている津原泰水「蘆屋家の崩壊」を読んだ。短編集であることぐらいしか情報がないまま読み始めたので、ジャンル的にホラーなのだと驚いた。正確には怪奇幻想だろうか。でもそういうジャンルの括りが野暮ったく感じられるほど小説を読む喜びがあった。
無類の豆腐好きという共通点で知り合った語り手猿渡と怪奇小説作家の「伯爵」の二人組が行く先で怪奇に出会う。豆腐好きという今ひとつ解せぬ地味な嗜好だけれど確かに豆腐うまいんだよな。キャラクターの好物ひとつ取っても作品に良い味を出している。2人の会話がコミカル、猿渡の豆腐への愛などほのぼの要素でホラーの味が薄まるかというとドキッとするほど怖い瞬間がある。幻想がこの世ならぬ世界に読み手を連れ出し、目覚めた瞬間!タイトルの「蘆屋家の崩壊」は恐怖と幻想の書き振りが好き。短編ならではのキレの良さだ。

著者は亡くなってしまったのだな…と噛み締めながら読んだ。面白かったです。

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