そういう訳で、お嬢さんは『地方の裕福な商家の娘で、小間使いと荷物持ちの人形を連れて中央にいる父を訪ねる旅の途中』という設定でいきます。
小間使いは自分、兼森が努めさせていただきます。
人形は言葉通りなんですが、一応説明しておきましょう。
これは一般的に普及している人足の自律人形です。
契約者の指示に従って荷物を持って歩きます。
舗装された道も険しい山道もなんのその!
人間が歩く場所は大体着いてこれます。
とはいえこいつはウチでちょっと中身を弄ってまして。
音や映像の記録だけじゃなく、迷子になったお嬢さんを探す機能もついてます。
いやいや、ホントですよ?!
旅のお仲間です。たまに話しかけたりしてやってください。それも全部残りますから。
後で旅の思い出を振り返るのにはもってこいでしょう?
喋れはしませんが、目を見て話せば相槌をうつくらいは普通にします。
え?人形はそんなことしないって?
そりゃお嬢さんの世界じゃそうかもしれませんが、こっちじゃコレが普通ですよ。
もっと値の張る自律人形は喋ったり表情を変えたりしますからね!
まぁ、しばらくは驚くことばかりでしょう。
社会勉強ついでの物見遊山ですよ。
だぁーいじょうぶ!
お嬢さんの旅の安全は、この兼森が保証しますって!